吉田
【元生地屋が解説】#9
こんにちは、デニム研究所 倉敷店 吉田です。
今回はセルビッチデニムを織る工程を解説していきます。
前回染色について書かせていただいてから少し時間が経っているので簡単におさらいから。
デニムは先染め生地なのでまず糸を染色してから織ります。
国産デニムは基本ロープ染色という方法で染色しています。
染色が完了した糸は後処理として
・分繊:糸を一本ずつ分けてシート状に並べる。
・サイジング:織りやすいように糸を糊付けし生地の規格に合わせて経糸を整形して
ビーム(巨大なボビン)に巻き上げます。
ビーム
ここまでが染色工程で巻き上がったビームを製織の工程に移動して織機にセッチングしていきます。
生地は経糸と緯糸で構成され、組み合わせ方で様々な組織の生地が作られます。
その為経糸は独立して動く必要が有り、まず筬(おさ)と呼ばれる緯糸を打ち込むパーツと
綜絖(そうこう)呼ばれる経糸を上下に動かすパーツに経糸を一本ずつ通していきます。
経通しという工程で、細かい作業になりますが基本手作業です。
綜絖・筬
これで下準備が完了です。
ここから織の職人さんが織り付けの作業に入ります。
織り付けとは試し織の事で、織上がりの生地をイメージしながら気候、湿度、糸の調子に合わせて織機を調節、
合わせて織機の挙動等も確認して問題や故障が有れば修理します。
乾燥している冬の時期と湿度の高い梅雨の時期では糸の状態や織機のコンディションが違うので微調整しないと
出来上がりの生地の表情が微妙に違ったり糸切れ等の欠点の原因になるので非常に重要な工程です。
最終的に織り付けを確認して問題が無ければ本生産に入ります。
デニム生地の基本組織は3/1綾織りです。
経糸四本を1と組みとして経糸三本が上、一本が下でその間を緯糸1本が通る組織が3/1の綾織りです。
綾目が右上に向かうものが右綾、反対が左綾で基本デニムはLevisの規格を採用して右綾の物が多いです。
(ちなみに左綾の代表はLee)
組織に合うように綜絖を上下させて経糸の間を緯糸が走り筬で緯糸を押し込む(打ち込む)
これを繰り返すことで生地が織り上げられていきます。
緯糸を通す際に使われる部品をシャトル(杼/ひ)と云いシャトル織機の名前の由来になります。
シャトルは写真のような形で中心に糸をまいた木管と呼ばれるものを搭載して左右交互に緯糸を運んでいきます。
この動きからシャトル織機と言われます。
シャトル
木管
木管に巻かれた糸が無くなると自動的にシャトルから排出され、
同時に新しく糸を搭載した木管が挿入されて止まることなく生地を織り続けます。
右から左に行った緯糸はそのまま又左から右に戻るので生地の端は繋がっていてほつれ無い様になっています。
このエッジ部分に生地とは違う色の糸を入れることで他社と差別化したのが今で言うセルビッチです。
ちなみに生産性を上げる為に革新された現在の高速織機にはシャトルはありません。
より早く織るために糸を搭載した重量のあるシャトルで糸を左右に移動させるのでは無く、
糸のみを高速で移動させる構造へと変化
通された糸はそのまま打ち込まれて次の緯糸が供給されるので緯糸は繋がってはおらずセルビッチはありません。
革新(シャトル・レス)織機についてもまた解説をしたいと思いますが今回はシャトルについてなのでまた別の機会。
このようにほぼ自動で製織可能なシャトル織機(自動織機ともいう)ですが、
1920年代に登場以降マイナーチェンジを繰り返して進化してきたとはいえ基本の構造は
当時のままで変わっていません。
やはり最新式の物に比べれば扱いも難しく常に微調整も必要です。
また、生産自体が終了しているので故障の際メーカーに問い合わせることも出来ないので
メンテナンスも職人の仕事になります。
先にも書きましたが、季節や湿度などの些細な条件でも調子が変わるシャトル織機です、
やはり上質の生地を織るには職人の腕が重要になります。
古い織機を使ってヴィンテージの生地を再現するという目的で再稼働させたシャトル織機、
昔を知る職人さんの手で昔の生地を再現するだけでなくさらに品質を上げる努力をしたことにより
セルビッチデニムは進化し続けています。
ちょっと脱線しましたが、シャトル織機での製織についてでした。
次回はデニム製さんの最終工程、仕上げについて書こうと思います。
ではまた!
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